「麻雀放浪記」

『麻雀放浪記』。名前は聞いたことはあるけれど、見る機会がなかった。

タイトルから想像するに、麻雀をしながら放浪していくのだろうと思っていたが、思っていたほど放浪はしていなかった。どちらかというと権利書の方が放浪していた。

まあ冗談はこれくらいにして、この映画は戦後の混乱の中、生き残った者たちの貪欲な生き様がモノクロ映像に生き生きと写し取られている。まだ何も知らない無邪気な坊や哲が、博打を渡世としている男たちに、一流の博打師として鍛え上げられていく話。

一発勝負で、家の権利書から自分の女までが売られていく世界。そこには情も涙もなく、勝つか負けるか。負けた者は後を汚さず舞台を去り、それでも虎視眈々と浮き上がりを狙う。

はじめはこんな世界正気の沙汰ではないと思っていたが、いつしかその狂気じみた男たちがかっこ良く見えてくる。これは私が男だからなのだろうか。そこに男らしいかっこよさを感じてしまう。麻雀をしている時の真剣な表情や、負けたときの潔さ、博打というものがそもそも金のためではあるけれど、そうではないようにも見えてくる。

何かを背負いながら真剣勝負をしている男というものはこんなにもかっこいいのだろうか。それは違う。そこらへんにあるパチンコ屋にいけばそれは違うということはすぐにわかる。ということはやはりそもそもの役者が格好良いからということだろう。

どうやら、この映画を見て賭け事に真剣になれば格好良くなるといった幻想は抱かないほうが良いようだ。

 

 

 

 

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