『麻雀放浪記』

ラストサムライ、ラッシュアワー、亡国のイージス、たそがれ清兵衛など様々な映画でその魅力を見せつける真田広之。今でこそ渋い役や味のあるダンディーな雰囲気を放ってはいるが、彼の魅力はそのずっと前から世の中に知れ渡っていた。

『麻雀放浪記』
この映画は自分が小さい頃から親が好きで見ているのを横で見ていた。真田広之は昔日本のジャッキーチェンといわんばかりのアクションをこなしていた。里見八犬伝や忍者武芸帖 百地三太夫などでその軽い身のこなしを披露しアクション俳優として名が知れた俳優だった。
その中でもアクションを抜きにした人間ドラマを描いた映画が麻雀放浪記だ。この作品でまず注目すべきなのはその配役にある。今見てみれば豪華すぎる顔ぶれ、真田広之に加え鹿賀丈史、大竹しのぶ、加賀まりこなど大物キャストが顔を連ねる。
その中で主人公、坊や哲に真田広之が起用されたのも納得がいく。この麻雀放浪記はそのタイトル通り麻雀をはじめとした賭博を主人公が覚えるところから始まり、そしてその後の賭博人生を描いている。ここで自分が素晴らしいと感じるのは真田広之の顔と目線の演技である。最初は何も知らない若造だが、賭博を覚え、イカサマを覚え、勝負を覚えていく過程でだんだんとその顔つきは勝負師へと変化していく。その顔つきはほんの30分前の顔つきとはまったく違う。そしてこの映画で彼が持つ『目』の力は凄まじい。彼は賭博の世界に入ったころから周りを見る力があった。観察力が良く一緒に麻雀する相手を見て麻雀を打つ彼は周りの賭博師に一目置かれるものがあった。麻雀や賭博の知識がなくても映画を見る側がその目線や表情でなんとなく心情を読み取れる。また、この映画はセリフ以外の効果音が多く含まれる。しかし、しっかりと駆け引きや勝負の場では静寂が訪れる。この映画は真田広之をはじめとした名役者たちが魅せる賭博師の世界を色濃く魅せる映画であるといえる。この時代のこの白黒だからこそ出せる表現をしている映画だ。

 

 

環境情報学部4年

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對馬好秀

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