華氏119
「華氏119」
—どんな映画か?なんの映画か?タイトルはなんと読むのか?—
「華氏119(かしいちいちきゅー)」というドキュメンタリー映画が公開された。ドナルド・トランプ米国大統領に焦点をあて、何かと世間を騒がしている問題ぶりをマイケル・ムーア監督が切り込んでいく。
時系列を追いながら、ドナルド・トランプの選挙戦、トランプファミリー、中間選挙、共和党と民主党の戦い、ヒラリークリントン、バーニーサンダースとの攻防、銃の所持問題を取りあげた「ボウリング・フォー・コロバイン」、マイケルムーア監督の故郷のフリントでの水質汚濁問題など。大勢の民間人の映像と”声”を切り取りながら、あわさって、1つの作品となっている。
この映画を見る上で、マイケル・ムーア監督を知らなければならない。アメリカのドキュメンタリー監督であり、ジャーナリスト、政治活動家。本作でも題材となっている「ボウリング・フォー・コロバイン」で、長編アカデミー賞を受賞するなどの名監督である。作中、フリントの水質汚濁問題で民衆とともに、知事のもとへ詰め寄ったとき、知事側の人間が報告する際、「民衆に武器がありませんが、マイケル・ムーアがいます」と伝えているシーンが印象深い。本作でも、自身みずからインタビュアーとなって多く登場する。
トランプ大統領の是非とアメリカの政治についての意見はとてもこのコラムでは書ききれないが、このドキュメンタリーには「社会批判とはどうやってするのか?」という題材が詰まっている。マイケル・ムーアの目によって切り取られた事象から、いつのまにか自分の意見をもって、ドナルド・トランプを見ていることに気づく。
表題にもどるが、華氏とは、「Fahrenheit」温度のことである。間違えてはいけないのは、2004年位、9・11同時多発テロを取り巻く、ブッシュ政権の批判をこめた「華氏911」というドキュメンタリー映画も公開されている。より多くの人が見ることもドキュメンタリーの目的のひとつだと考えるが、やはり、タイトル訳がわかりにくいと思う。