代理課題 金の街 九份

 九份。台湾、その中でも台北に訪れた旅行客の多くが足を運ぶ、台湾有数の観光地の1つだ。ご存知ジブリ、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』のモデルだと言われる地でもある(ジブリはあくまで否定しているが)。赤い提灯がぶら下がる幻想的な街だが、もともと金鉱山で栄えた。日本統治時代に最盛期を迎え、金瓜石鉱山と九份・瑞芳鉱山は東北アジア一もといわれた。1900年代から採掘量が減り1971年に閉山したことでさびれてしまうも、『悲情城市』という映画をきっかけにまた人が集まるように。街並みには鋼夫の像なども見え、今も鉱山としての面影は残っている。

 その地に私は一昨昨日いた。姉と母との台北女3人旅の道中に、美しい景色で有名な九份を選ぶのはごく自然な流れだろう。天気は生憎の雨。台北は降っていなかったのに、九份に向かうにつれて、電車の窓に雨粒が目立ち始めた。瑞芳という九份の山に程近くの電車の駅に着いた時には、しとしと雨に打たれることとなった。そこから山の上の方にグネグネと曲がった道をバスで通り抜けていく。バスの運転はなかなか荒く、かつスピードが速く、駅を通り過ぎても分からないほど。予定通りの駅で降車すると、階段を上り、お茶屋さんへ。止んでくれれば…と思いつつテラス席でお茶を楽しむが、無情にも雨は強くなっていく。お店を出た時には本降りになっていた。雨のせいで、軒下にある以外の提灯は点かず、本来夜になるほど写真映えするはずが暗い。大雨の中写真を撮りながら階段を上り下り。疲れ切った私たちが乗ったバスはなぜか「No charge(お代はいらない)」と言われ、不思議な心地で瑞芳を去った。

 前述したように、この九份の山は日本統治時代に栄華を謳歌した。その地に今再び日本人が旅行で訪れ、お金を落としていく。そして、その街をモデルとした日本のアニメ―ション映画が大ヒット。何か、日本と九份という場所には浅からぬ縁がある、そんな風に感じられた。

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