華氏119

どのテレビ局もインターネットも話題は第45代大統領選挙で持ちきり。その時私は、ちょうどニューヨークで寮生活をしていたが夜更けまで中継を見ていたものだ。そう、2016年11月09日にDonald John Trumpが米国第45代大統領に当選を確実とし勝利宣言をして全米いや、世界中を驚愕させた。

彼ほどのビック・マウス・プレジデントも少ないから彼が何かするたびに、すぐツイッターは炎上し、暴挙暴言でメディアをざわつかせる。そしてその大胆な政治政策から国民の間でも、トランプを支持する者と支持しない者でキッパリと別れているのが現状だ。

マイケル・ムーア監督はトランプ大統領に対してのそれぞれの“想い”を国民にアポなし取材し、ドキュメンタリー映画として今回「華氏119」の公開を実現させた。彼は「華氏911」で、同時多発テロ事件に対応したブッシュ政権の内実を暴き、ボロクソに批判した有名監督であり現職大統領を標的とした作品は自身2本目となる。両作品とも現職大統領を標的としているが、そこには大きな違いがある。「華氏911」では9.11に端を発するアメリカ政府の迷走と戦争責任はブッシュにあるとする内容だったのに比べ、「華氏119」ではトランプ大統領が原因なのではなく彼のような男の誕生は長年にわたりズレが生じてきたアメリカ社会が生み出した結果に過ぎないと描いている。

そして本作を見て率直にマイケル・ムーア監督の行動力に驚いた。彼自身決して若くない体で様々な場所と人に取材を決行し、しまいにはミシガン州知事の自宅に向けてフリントの汚染水を放水する。まさにアメリカンな考え方・行動力で面白い。何より心打たれたのは、私より幼い少年少女が国のボスに向かって本気でスピーチする姿。果たしてこれだけの行動を起こせる人は日本に何人いるのであろうか。実際に国をひっくり返すことはほぼ不可能。でももしかしたら一人の男が作った、たった一本のこの映画なら大統領の暴挙を止められるかもしれない。

 

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