心休まる相模大野の台所「しんしん亭」

相模大野駅のいわゆる“栄えていない側”南口から三分程歩くと、ポツリと輝く緑の看板が目につく。店の名前は「しんしん亭」。静かに雪が降るさまを連想させられるその名の通り、店内には手狭で落ち着いた空間が広がっている。

シンプルな内装に、十席に満たないカウンター席と二人がけのテーブルが三つ、この空間が私の心を休める場所だ。深夜二時まで営業していて、仕事帰りのサラリーマンやガッツリ食べたい若者、そして仲良さげな夫婦などが入れ替わり立ち替わり店に吸い込まれてゆく。

この店を一人で切り盛りするのは「シンさん」という四十代中頃かと思われる、シャイな店主。顔はジョージ・クルーニーと関根勤の合いの子といった具合で、上品な出で立ちだ。

メニューにはフライやに肉の定食などのレギューラーのものと、ホワイトボードに書かれた日によって違う定食がある。ハンバーグ、焼き魚、トンカツ、唐揚げ・・・どれもスタンダードで非常に満足感が高く、安心する味である。ご飯と味噌汁はおかわり自由になっており、「少なめで」と言わないと、こんもりと盛られたご飯が出てくる。価格もおよそ700円から1000円くらいの相場で満腹になるまで食べられるため、お財布にも優しい。

私は、定食屋の真髄は、ご飯にあると考える。この店のご飯は、いつ行っても硬すぎず柔らかすぎず、まさに丁度良い、ザ・ベストの炊き方なのである。そのご飯をもってして、メインディッシュの旨味が極限に引き出されるという相乗効果を生む。

また、明確な基準はわからないが、おそらく少し値段が高めの定食を頼むと、サービスだろうか、店主が目玉焼きや焼売、当たりの時には大きなメンチカツを差し出してくれる。

そんな関根クルーニーの物静かで粋な雰囲気に包まれた「しんしん亭」は、相模大野近辺に住む人々の心休まる台所となっている。

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