127
127時間という時間は長いと感じるか、短いと感じるかはその人が置かれた環境や状況によって大きく変わる。しかし、この映画の中では、127時間を使い、生への執着と情熱を余すところなく表現しています。スラムドッグ$ミリオネでアカデミー賞8部門に輝いたアダニー・ボイル監督がアルピニストとして活動しているアーロン・ラルストン氏の実体験をもとにした原作「127時間」を映画化したものである。実話であることを念頭に置いて、見始めるとますますこの映画の魅力にはまっていきます。冒頭に描かれている大自然の風景や軽快な音楽にあわせて、主人公が自然を満喫している姿だけでも、見ているものを十分に惹きつけるが、そんな中、突然襲いかかる落石に右腕を挟まれるという過酷な運命に陥ってしまう対照的描写に、恐怖さえ感じます。「この岩は何万年も前から俺が来るのを待ち構えていた」この台詞からも感じ取れるように、どんな過酷な運命であっても生存という道を必ず自分で切り開くといった主人公の意思の強さに憧れさえも感じていました。
原作のタイトルは「奇跡の6日間」であったが、この表現にはどうもしっくりこない。このようなタイトルでは、主人公が陥った過酷な運命から奇跡的に逃れられたといった表現が含まれている。この主人公に確固たる生存への執着があったからこそが、生還できたのであって、全てが必然的な結果である。まさに、落石に挟まれてからの6日間の行動の全てが、生還という結果につながりうるものだったはずだ。また、最後に、自分が挟まった現場に対して、「ありがとう」といえる主人公の意思の強さにより一層惹きつけられるだろう。
この映画において、情景の描写の8割は、岩石と岩石の間といった一場面しかない。しかし、ここまで見ているもの釘付けにさせるのは、何気なく生きている自分と主人公の生への執着と情熱のギャップを実感させてくれるからだ。ただ見て楽しかっただけではなく、見終わった瞬間の自分に対しても、強く心を揺り動かしてくれものをこの映画は持っていると感じました。