コラム 鳥獣戯画
鳥獣戯画がよく分からない件
崎津 舞香
鳥獣戯画と聞いて、歴史の教科書に出てきた、ウサギとカエルが多数いる絵を思い浮かべる。この絵は何でしょう?と問われると、「鳥獣戯画」と回答する事は出来るのだが、この絵の詳細は知らない。そんな私が鳥獣戯画展へ足を運んだ。私の狭い視野と価値観において、鳥獣戯画は一部の歴史マニアにしか人気がないものと思っていたが、世間の人々は大変高尚な趣味をお持ちな様で、なんと待ち時間が1時間少々あるではないか。平日の午後3時、並んでまでして見る鳥獣戯画展の魅力はどこにあるのだろうか?正直、歴史にも美術にも興味がない私は並んでいるのが苦痛で仕方なかった。やっと館内に入る事が出来た時には既に疲れきっていて、高山寺に関する展示には目もくれず、一目散に鳥獣戯画の展示ブースへ向かった。実際、鳥獣戯画の展示スペースが一番混雑していた。歴史の教科書で見た鳥獣戯画、見た事のないバージョンの鳥獣戯画、たくさんの絵巻が並んでいた。私が浅学なだけではあるが、鳥獣戯画にヒトが出てくるのを始めて知った。私の正直な感想を述べると、この鳥獣戯画から感動等は何も感じなかった。立ち止まってじぃーっと絵を見つめている人は、この絵から何かを感じとっているのだろうか?私には不思議な光景であった。これが現在の漫画の原点であると知り、その点に関しては、擬人化するという事やアニメーションという概念の構築がここから始まったと思うと少し感慨深さがあった。芸術的センスの乏しい私の見解としては以上である。ところで、鳥獣戯画展のオリジナルグッズを見ただろうか。鳥獣戯画Tシャツやアイフォンケースなど、バラエティに富んだグッズが多数販売されていたのだが、これが何ともかわいらしい。グッズがされるとこんなにも愛着が湧くのかと感心する。鳥獣戯画の持つ「ゆるさ」が現代っ子の私の感性を刺激した瞬間だった。鳥獣戯画はかわいい。この感想を持てただけでも、この鳥獣戯画展での大きな収穫であったと思いたい。