象を撃つ

著者のジョージ・オーウェルは、イギリスの作家である。全体主義の考え方を持ち代表作「1984年」を描いた人物でもある。
そのような思想の持つ彼の描いた作品「象を撃つ」もまた独特の世界が繰り広げられていた。
私はこの本を通して得た教訓がある。
負けるはずのない「絶対的な強者」は「弱者」に対して負けることがある。つまりは人間の心は立場には問わられず弱い部分には誰にでもあるということも学べるのではないだろうか。
具体的な内容としては白人の主人公は、植民地にした場所で警察の仕事をしていた。ある日突然象が暴れ出したと聞き駆けつける。しかし駆けつけると象は大人しくしていた。
しかし象を殺せという周りの威圧、視線から逃れることができず殺してしまう という内容である。

この様な文章がある。
この瞬間、ライフルを手にしてそこに立っていたこの瞬間に、初めて、東洋における白人の支配のむなしさ、愚かしさがわかった。
私はここで、術を持った白人として、武器を持たない原住民の群れの前に立っていたー

ここからもわかるようにいかに白人が強く好奇の眼差しで見られるかがわかる。
この文章こそ、立場の圧倒的違いや苦労を表しているのではないだろうか。そして全体主義の考えが明白に表れていると感じる。

しかし上の文章とは対照的にラスト一行では主人公の気持ちが鮮明に映し出されている。

ばかに見られたくないというだけの理由で、私が象を撃ったのだと見抜いた者がだれか一人でもいたかどうか、私は何度となく思いめぐらしたものだ。
と書かれている。

これもまた白人であるが故、負けてはいけない、常に上の立場のみが知る恐怖である。
じわりじわりと追ってくる独特の怖さだ。現地民が白人を見る視線に耐えられなくなり、国柄的には勝っていても白人が一人だけである、逃げられないという状況から象を撃ってしまう。一人の人間の弱さがまた人間味を表していてとても怖い作品と感じることであろう。

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