万引き家族

第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した「万引き家族」。もう一度見たくなるような素晴らしい映画でした。監督は是枝裕和さんです。彼には他に「そして父になる」や「海街diary」などの作品があります。

今回のテーマは「家族」というより「人間関係」と言った方が良いかもしれません。それほど広い意味合いを感じ取れる作品です。

貧困にあえぐ家族は、万引きで何とか生計を立てています。そんなある日、父は外に放置されている少女を拾いました。彼はその少女を家に住まわせる事を決意します。ただ、これが最初の事例ではありません。実は女子高生の娘も小学生の息子も、元々は拾われた子供でした。つまり、この家族は、作られた家族だったという事です。

僕は、羨望の眼差しで、彼らの仲睦まじい生活を眺めていました。僕の家族は一家団欒などなく、兄弟間でも話すことはないからです。一方で、こんな家族が現実にあるのかと疑っていました。だからこそ、これが作られた家族だと知った時は妙に納得もしました。

劇中で祖母が「他人同士だから上手くいくのよ」と言っていました。お金でも血縁・地縁でも繋がっていない他人っていいですよね。何がいいかというと、義務がない所です。「万引き家族」にはその点で共感できる点が多々あります。まず、女子高生の娘が4番君をトークルームに誘う場面には、お金でない自然な繋がりを求める姿が見えます。また、家族が貧乏にも関わらず少女を拾う所もそうですよね。ただ義務がない分、裏切りもあります。映画でいうと息子を見捨てて夜逃げする所ですね。それから、息子がわざと警察に捕まったという事実もそうです。でもこっちの方が健全な人間関係だと思います。お互いに自由で束縛されない関係だと息苦しさがありません。一方で不安定さはあります。いつ裏切られるか分からない。それに耐えられない人も一定数いて、彼らが引きこもりとなるのではないでしょうか。僕個人としては、不安定ながらも交友していきたいですが。

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