お金の若者離れ問題
5月5日付の朝日新聞に掲載された「『お金の若者離れ』現実知って」と題されたコラム。我々と同世代の大学生によるこの投稿は、メディアが騒ぎ立てる「若者の〇〇離れ」はそもそも我々の元にお金が回ってこないことが理由だと主張するものである。
高須克弥氏がこの投稿を引用し「甘ったれるな」と喝を入れたことを皮切りにネットでは多くの世代間対立が勃発し、「選挙に行かない若者が悪い」「たしかに新卒は怠け者ばかり」「団塊世代は価値観が古い」「老害」等々、数々の口汚い言葉が聞こえてくる。実際に高須克弥氏のツイートのリプライツリーを覗いてみると、正に地獄。様々な世代が賢しら口で各々の憎悪を煮込んでいる。
落ち着いてほしい。
まず、高齢者の皆皆様へ伝えたい。件のコラムは「お前ら高齢者が金を使え」「悪いのはお前らだ」といったように高齢者に責任の所在を求めるものではない。あくまで若者には若者の苦しみがあることを知ってほしいというささやかな祈りである。どうしてコラムの筆者は、若者の賛同を得やすいネットではなく、高齢者を中心に購読されている新聞というメディアを使ってこの問いかけをおこなったのだろうか。その意味を今一度考えてもらいたい。
次に若者へ。老人たちを叩いて溜飲を下げたところで、我々の現状は果たして改善されるのだろうか。というか、高須克弥氏は実際にモーレツに働き、金を使い、経済を回してくれたことは間違いない。「我々に聞こえの良い意見に反論するものは全て叩く」そういった姿勢のまま歳をとれば、いつかは私たちがそれらしい理由で若者を叩くようになってしまう。
件のコラムは対立ではなく対話することを目指したものである。読者は、対立構造に乗せられるきっかけとしてではなく各世代の苦しみを知るきっかけとして受け入れるべきである。弱冠20歳の筆者が送り出したささやかな祈りが尊重されることを望む。