「自分の闇は」ーウィステリアと三人の女たちー

「自分の闇」は

総合4年 長内あや愛(おさない あやめ)

 

著者の川上未映子さんは1976年生まれ、42歳。2007年に早稲田大学坪内逍遥大賞激励賞、2008年に芥川龍之介賞、2009年に中原中也賞、2010年に芸術選奨文部科学大臣新人賞及び紫式部文学賞、、、その他にも高見順賞、谷崎潤一郎賞、渡辺淳一文学賞、、、まさに天才である。

「ウィステリアと三人の女たち」は2018年3月30日に出版された新著である。3つの短編と1つの中編小説からなる。本のタイトルの「ウィステリアと三人の女たち」は、その4つの小説の4つ目のお話だ。

今回、私は課題のためこの4つ目から読んだ。何度も読んだ。より深く理解したかったから。登場人物はウィステリア、そして三人の女たち。しかし女は三人ではないかもしれない。二人かも、一人かも。。。何度読んでもわからない。しかしこの小説のキーワードは「闇」だろう。ある女は、授からない子供を思い、ある女は、会えない女性の影を追い続ける。

 

“私“を理解してくれない相手に、「あなたに何がわかるの!?」という場面がよくあるし、”私“の”痛み”なんて、他人にわかるわけがない、と私は常々思っている。しかしこのウィステリアと三人の女たちは、同じく闇があるし、理由は別々でも、”闇の中”の思いは共有できるのだろう、と思うところがある。「他人にわかるわけはない」ではなくて、”闇”をみた者は”闇にいることを理解しあえるのではないかと思った。

作中、こんな言葉がある。「どんな夜にも光はあるし、どんな小さな窓からでも、その光は入ってくるのだから。」どんな絶望にも失望にも、希望や未来はある、と私は解釈する。しかし登場人物を見ていると、光を見ようとするのは自分自身だ。いつだって。

ここまで考えたが、結局のところこの小説は真相がとにかく、わからない。調べてみると、本に収録されている3つの小説が関係しているらしい。ぜひ、4つ目を読んでから、同本に収録の残りの3つを読んでほしい。

 

 

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