ヌード NUDE 英国テート・コレクションより

ヌードと向き合うという事。

自分自身の裸体と向き合った事がない。しっかりと自分の裸体を見たことがまずないだろう。それがどんな意味を持つのかを考えるなんて遠い先の話である。

さて今回は「ヌード NUDE 英国テート・コレクションより」に行ってきたわけだが、今回の展示は英国テートのコレクションよりロダンの接吻を始めとした多くのヌード作品を集めてきたという。

ヌードツアーへと出発した私はどこか裸体の持つエロティシズムに期待して、横浜美術館の門をくぐった。そもそも私が思い描いてきたエロティシズムとは簡単に言ってしまえば性的興奮を掻き立てる表現の手段であった。

しかしヌード=エロティシズムという考えは1つ目の展示から否定されることになる。まず私が目にしたのは理想化された品のある裸体だ。順に従ってヌードがどのような役割を担ってきたのか提示される。しかし私は4つ目の展示「エロティック・ヌード」で19世紀を代表する彫刻家ロダンの三大彫刻の一つである「接吻」を目にする事になる。ここには360度のエロティシズムがあった。私はこの大きなエロティシズムに感動すると同時にヌード=エロティシズムの出発点に立ち戻る。しかしそれは最初に抱いていた期待とは違って、ヌードのもつエロティシズムが単なる性的興奮の表現ではなく、怒りや悲しみ、喜びや憎しみと言った多面的な感情を想起させる装置として機能し始めたのだ。

4つ目以降の展示はとりわけ面白い。そしてこれらの展示を全て鑑賞し終えた後、私の足は自然と1つ目の展示へと向かったのだが、そこにいる私はヌードに興味を持っていた。それがまた自分自身の裸体と向き合ってるようで恥ずかしい。

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