代理課題:美徳とは。—殿、利息でござる!—より。
美徳とは。—殿、利息でござる!—より。
総合4年 長内あや愛
学籍番号71502088
オリンピックの羽生結弦選手の演技に感動した。けがから復帰して2連覇したこともすごいが、演技後のスターゆえの振る舞いや奢らない姿にも感銘を受けた。今、私の家族内では一種の羽生結弦フィーバーがおきていて、羽生選手が出演しているということで、「殿、利息でござる!」を見た。
「殿、利息でござる!」は、磯田道史「無私の日本人」所蔵「穀田屋十三郎」が原作で、2016年5月に映画化された、実話である。思い年貢と使役に搾取されながらも必死に生きる、仙台藩の吉岡宿。このままでは廃れゆくことが目に見えている、、、。ないお金をまわすこともできない。どうにかしてお金を得る方法をかんがえねば。。。ここからストーリーがはじまる。
多くはネタバレになるのでここでは記さないが、とてもいい映画だった。すごくいい映画を久しぶりに見た。大変恐縮ながらタイトルからはあまり期待してなく、作業をしながら見ようと思っていたのが、作業なんかできなかった。物語がすすむテンポがはやいのだ。
吉岡宿の今後を憂いている菅原屋篤平治は、「(今換算すると約3億円にもなるお金)一千両を貧しい百姓皆で集めて、仙台藩に貸し出す、その利息を毎年もらって、年貢の代わりにすれば、百姓の負担が減る。」という前代未聞の夢物語を友達の穀田屋十三郎に話す。穀田屋十三郎はまた人一倍吉岡宿の行く末を案じている者で、町の重役にかけあい、どうにか夢物語を実現しようと奔走する。仮にお金が集まったとしても、藩と町でやりとりされるため、個人の徳はなにもない。儲けもない。それにもかかわらず、2人の思いがどんどん広がっていき、皆私財をなげうって、身売りをしてまでお金をあつめる。人から人へと話が伝わる度に、ぽんぽんと話が進むのだ。町のために己の利益を顧みないことに感銘を受ける姿、すぐに心打たれる姿が尊い。
いよいよ主上に嘆願するとき、出資者の名前は一切ださないと皆で誓う。またそのとき、今まで隠しながら、店をたたんで出資していたものや寄付をしていた者がいたことが明らかになる。誰も気づかなければ気づかれないままであったのに、「言わない美徳」を守っている。美徳とはなにか。そこまでできた人がいるのか。考えさせられる。「言わない美徳」がなりたつのは、「気づける野暮でない人」がいるおかげかもしれない。
壮大な倫理観の話だけに、タイトルに全てを盛り込むのは無理である。「殿、利息でござる!とつけたのにもうなづける。