赤めだか

 

私は今、大学卒業後の進路を決めて、前に進まなければいけない場面にいる。社会人になってみたらそうでもないのかもしれないが、はじめて”学生”の世界から出る第一歩は、人生でとてつもなく大きな、これからの一生を決める一歩だと、絶対に失敗は許されない、という焦りと不安の思いでいっぱいである。出来るだけ自分の希望通りに、出来るだけ今までの夢を叶える形で、踏み出そうと必死にもがいている。

そんな中、「赤めだか」を開いたとき、最初の一文は、「本当は競艇選手になりたかった」。そこからはじまることが、衝撃だった。

今第一線でご活躍の立川談春さんなのに、はじめから落語家になりたかったわけではなかったのか?どうやって、夢を叶えたのだろう。どこで一歩を踏み出したのだろう。

「赤めだか」は、立川談春さんが1984年に高校を中退してから、立川談志に入門し、真打となるまでを描いた、エッセイである。次へ次へとページをめくって、その先が知りたくなる。事実の物語がこんなにも面白いなんて。弟子入りを決心するときの心情の変化から、落語家を目指すための修行や行動、人生の転機になる出来事や挑戦、失敗。落語家として活躍するまでのその軌跡を読むことのできる一冊であった。笑いながら、自分はどう行動したいのかすべきなのか考えながら。

読み終わったときに、目標に向かって誠実にひたむきに努力をすることに、失敗もなにもないのかもしれない。10年後、20年後はどうなっているかわからない。何が失敗かもわからない。自分に誠実にいたならば、苦労が苦労でなくなり、「あのときにこうしとけばよかった」なんて微塵も思わないのかもしれない。勇気を出して、自分に誠実に一歩を踏み出そうと思った。

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