ギルティナイト
聖なる夜がやってきた。恋人たちは賑やかな夜の街へと消えていき、大人たちは慌てて家電量販店へと繰り出す。いつの間にか大人に近づき、ゲスになってしまった私は、10月末とか11月はじめの生まれの友達を見るとついゲスゲス笑ってしまう。
しかし、振り返って見ると、私にもサンタに会うために必死に夜更かしをしようと眠い目を擦らせていた時がある。サンタのためにクッキーと牛乳を用意して、食べた跡をみて大いに喜んだものだ。親の涙ぐましい努力の賜物だが、いつの日か彼らにも限界がきてしまったようだ。忘れもしない、小学校4年生の時だった。
子供の本当に小さなイタズラだった。親の鼻をへし折ってみたいという小さな思いだった。4年生にもなるとサンタはいないという噂が流布し始めて、信じていた訳ではなかったけど、挑戦的になりたくて「サンタっていないんでしょ」とある日、蕎麦屋で聞いた。親は慌てふためくどころか真顔だった。
「あ、いないよ。よかった気づいてくれて!もうこっちも大変だったの!クリスマスにお年玉なんてあなたたちもらいすぎよ」そして翌日続けて、
「クリスマスかお年玉どっちがいい」と迫った。もう、本当に悲しかった。しかも、その年のクリスマスプレゼントが英検2級のカレンダーだったから、絶望した。夢はいつか絶対冷めることを幼ながらに察知した。だからこんな下衆な女に成長してしまったに違いない。今でも、根に持っている。もっとオブラートに順序立てて、教えてはくれんかっただろうか。
ただ、最近になってからは、自分に子供ができるようになってからのことも想像するようになった。子供の欲しいものを聞き出して寝静まるのを待ったり、そしていつの日かは真実を明かし、子供心を砕かなければならなかったり。日本の12月24日とは聖なるというよりは、非常に罪深い一日である。