やさしくない選挙
先週末に左足を骨折した。歩行は愚か、地面に足を着くことさえままならないので、当然松葉杖をつくことになった。しかも一週間ほど雨天が続くらしい。なんとツイていないことか。
たかが国民ひとりの骨折で揺らぐ我が日本ではない。翌週は衆議院選挙の日だ。私は諸事情で住民票を実家から移していないため、投票の方法を、インターネットを使って調べてみる。住民票のある市町村のホームページで「不在者投票宣誓書・請求書」をダウンロードし、印刷。その後必須事項を記入し、住民票のある区の選挙管理委員会に郵送すれば、不在者投票証明書が届くとのこと。あとは届いた一式を持参し、最寄りの選挙管理委員会で投票すれば完了だ。
「完了だ」などとサラッと紹介してしまったが、実のところ、あまりの工程の多さに唖然としてしまった。印刷・郵送・投票という3つの工程で少なくとも3度外出しなければならない。松葉杖で、しかも雨天の中傘を差せないとなっては外出のしようもない。
デジタルネイティブ世代の私からすれば、投票所に行って投票する意味が全く理解できない。投票所に行かないと適当に投票してしまう、という意見もあるそうだが、本当にそうだろうか。むしろ、パソコンを前に、候補者や公約を見比べられた方がじっくりと考えられるように思う。セキュリティーの問題もあるかもしれないが、施行されてから、私たちの生活においてはほとんど用途のないマイナンバー、なんのためだよと悪態をつきたくなる。若者の投票率の低さを問題視しておいて、インターネット投票をやらないのは、高齢者優先の公約ばかり掲げた政治家が、若者に投票させたくないせいなんじゃないか。
だが、一国民でしかない私のこの声は、やはり選挙に行かないことには届かない。投票に行けないやるせなさと左足の痛みに怒りが込み上げてくる。これは選挙に行けない馬鹿者の八つ当たりなのだろうか。