嫌いな人

 最強の敵が現れた。恋人をどうしても守りたい主人公は、先に彼女を逃がし全力で戦っている。しかし、なぜか彼女は戻ってきた!せっかく逃がしたのに、よくわからない正義感から戻ってきたのだ。そして、戦場で彼女は足手まといとなり、結局事態は悪化する。

 私はこの足手まとい女が大嫌いだ。映画「GANTS」では、のこのこと戻ってきて足手まといになった「たえちゃん」に対して非常にいらいらしたことを覚えている。このようなシーンはバトル漫画や映画でよく目にするシーンであろう。守るべき者を傷つけられた主人公が覚醒して最強の敵を倒せたりするのだが、兎にも角にも、下手な正義感で戻ってきて足手まといになる「たえちゃん」みたいな人が、私は大嫌いなのだ。

 

 さて、皆様にも嫌いな人はいらっしゃるだろうか。そいつを思い浮かべてほしい。そしてイライラするかもしれないが、そいつのどこが嫌いか考えてほしい。

 ユングによれば、嫌いな人とは自分を映す鏡だそうだ。

 例えば、「ぶりっこ」が嫌いだとしよう。ぶりっこの要素はあなたが無意識のうちに自分に禁止したものであり、禁止された要素がぶりっこに投影されているのだそうだ。つまり、嫌いなひとの嫌いな要素はあなたに内在している要素であるということだ。内在してはいるものの、無意識のうちに禁止し、抑圧しているから存在に気づかない。嫌いな人がいて初めてそれは投影され、存在に気づくことができる。よって、嫌いな人は自分を映す鏡なのである。

 このことは「嫌いな人との上手なつきあい方」として、カウンセリングにも応用されている。嫌いな人がいることによってストレスをためないためには、投影されている自分の負の要素を受け入れること、禁止ではなく許容することが大切なのだそうだ。

 たえちゃんのどこに自分の負の要素が投影されているのだろうか。彼女に自分の負の要素を見出し、許容するというのは、どうにも難しい作業になりそうである。

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