「愛と革命」
SNS。これらの言わばアプリの名前はキリがないほど上げられる。私も何個使用しているか数えたことはない。SNSは常に新しいことを良しとする。だから、古いものはすぐ腐る。新しい情報は取捨選択する以前に滝のように流れ込み、時として、その情報は肉を削がれ、全く別物の状態で届くケースもあるのが怖いところだ。スマートフォンやタブレット型端末の急激な普及により、私たちは今、情報過多社会に敵面している。脳の知識欲というと聞こえはいいのかもしれない。でも、知りたくないことが含有されていたとしてもきっと私たちの知りたいという働きの方が勝ってしまうのだろう。しかし、これが心理的疲弊につながり、SNS疲れなどという新しい言葉も耳にするようになった。そして実を言うと私もSNS疲れを経験したことがある。会っていない間も繋がっている。寂しい時は心を癒しもしたが、徐々にそれはプライベートとパブリックの境目をなくしていった。人にどう思われるかをそこまで気にするタチではなかったのに、既読がついてるのに返信がこないなとか、いいねの数を気にしたりとか常に無理をしている時があった(しばらく、携帯を触らなかったらすごく楽になったのだけれど)。
だから、今までのラインのCMを見ていてもわざとらしいほどに明るくポップなCMにちょっと辟易とした気持ちで見ていたことがあった。ただ、このCMを初めてみたとき。他のCMは全部テキトウに流して見てしまうものばかりだったのに、初めて文字通りドキドキした。能年玲奈のキャスティングというハンディキャップはあったかもしれないけど、キリンジの「エイリアンズ」というメロウな楽曲が流れる中、ただ少女から女性(能年玲奈)へと成長した一人の人間が見つめるだけの映像。商品に関しては「LINE・SNS使い放題1100円から」と言うだけで、情報が皆無に等しい。
現在のSNSの形とこのCMが美しいパラドックスを作り上げている。欠点をさも認めて逆手にとっている様が知性を感じるのだ。そしてその情報の少なさが現在の他のCMと圧倒的な違いを見せつけ、人々の心を惹きつける。ベンチャーから押しあがってきたLINEがはじめてブランドになった瞬間だった。