「こだわりと配慮が支える辛さ」
東京駅、丸の内南口を出て徒歩5分、TOKIAビルの地下1階。多数の飲食店が立ち並ぶ一角に「インデアンカレー」はあった。
1947年創業、大阪を中心に営業を続け、2005年に東京へ進出した。
特徴的なインド人のロゴから、初めての来店でも迷うことはないだろう。文字で店名をアピールするよりも、ロゴで視覚に訴えたほうが効果的だと、味覚以外への配慮にまず感心する。
店内へ入り、すぐに食券を購入する。
メニューは主に、インデアンカレー、インデアンスパゲッティ、ハヤシライス。
初来店の私は当然、看板名でもあるインデアンカレーを注文する。
指示された席にはすでにコップ一杯の水とキャベツのピクルスが用意されている。
席に着き、食券を差し出し、とりあえずとピクルスを口に運ぶ。
酸っぱい、この空腹が求める味ではない、と二口めをためらう間にインデアンカレーが置かれる。
目の前では注文を受けた男性がライスを盛り、ルーをかけて他の店員に手渡している。
この店で、カレーを盛ることができるのは長い修行を経た社員に限られるそうだ。
ここに創業以来のこだわりを感じさせる。
さて、インデアンのカレーとはどんなものなのか?と一口。
辛い。
カレーは辛いものだが、それでも想定外の辛さに驚く。
コップ一杯の水が一瞬で心許なくなる。もはや痛い。
コップの水は一瞬で半分になった。
しかし慣れてくるとその奥に甘さが広がる。
不思議だ。
あえて言い表すなら「美味しい」という言葉が相応しい。
しかしこの辛さにこの水は足りない。
と、店員が新たにコップの水を注ぎ直してくれる。
まるでわんこそばのように、コップを置くたびに店員が注ぎ直してくれる。
このカレーに大量の水が必要なのは提供側も承知らしい。そしてその配慮に感謝する。
そのまま給水しつつ一気に完食した。
店内は同じように一気に完食して、店を後にする会社員ばかりであった。
仕事中のわずかな時間に訪れる程、このカレーに魅力があるのだろう。
かく言う私も、東京駅に来た折にはまた立ち寄りたいと強く思った。
創業以来続くこだわりと、客への配慮がその魅力を支えている。