「リアルのゆくえ」コラム課題『どうしてくれるんだ』
現地に足を運べなかったので、ネットで岸田劉生さんと高橋由一さんの作品を調べ、閲覧した。
岸田劉生さんは娘の麗子を描いた「麗子像」で有名であり、麗子が幼い頃からの顔姿を何十点も描いている。髪型のせいか、やけに顔が横長に押し潰れているようで、不気味だ。可愛らしい赤子や包容力のある美しい女性を描く西洋画ではこのような人物画は見られない。
高橋由一さんは文政11年から明治27年という古い時代の日本の画家でありながら、線画とパッキリとした色分けを特徴とする浮世絵師とは異なり、写実的な絵を遺している。彼の代表的な作品「鮭」は上半分を切り落とし、紐で吊るした鮭が描かれている。単なる洋画家と呼ぶには描かれたモチーフが和風過ぎる。
などと、「洋画でありながら日本らしさがある」とかいうテーマでまとめてコラムを書こうとしていたのだが、高橋由一さんの作品をさらに閲覧しつつ、画面下にスクロールしてゆくと、なぜかさかなクンの写真が出てきた。どうやら5年前にも高橋由一さんの展覧会が行われた際に、さかなクンが作品「鮭」について感想を述べたそうだ。「『鮭』は身の厚みや、銀鱗の輝くことからかなりのフレッシュさがありそうですが、皮のしわしわ感から塩分つよめでちょっと固そう。ふっくらとして、銀鱗が輝き、身の色の鮮やかさから、脂があってふんわりやわらかな身で(きっと減塩で)(甘塩)美味しそう。表面も身も黒ずみ、身も半身がなく、かなり、日数がたっている」。
…こんな感想読まされたらもうこれ以上コラム書けねえよ!と一人でツッコミ、執筆作業が完全に止まってしまった。おいさかなクン、どうしてくれるんだ。