好きじゃないです
「Academy award goes to La La Land!!」歓声が会場を轟かす。…も、封筒の中身を間違えていたなんて!何事もハプニングはあるにしろ、不名誉な受賞となった映画「ムーンライト」。
個人的にフレッド・アステアやジーン・ケリー(「雨に唄えば」の主人公)を強く信奉している身なので、エマストーンは物足りない。私はアンチ「ララランド」なのだ(とか言いながら、号泣したが)。だから、今回の作品賞の受賞は非常に嬉しかった。同時に期待もたっぷりだったわけである。
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それでまあ見たわけだが、何と生産性のない話だろう。スラム街に住むいじめられっ子の黒人がゲイとして目覚める。それだけの話だ。幼少期・青年期・成人期と3部構成にわけて、特殊な効果を用いて青は「解放」だの赤は「怒り」だの。なんともアーティスティックにまとめられましたね、ここはカンヌ映画祭ですか?と思ってしまった。お門違い感が甚だしい。アカデミー賞は一昨年から黒人差別だと揶揄されてきて、その上にトランプ大統領の就任。メリルストリープがゴールデングローブでトランプ批判のスピーチをしたのが記憶に新しい。これらを意識したうえでのアカデミー賞の受賞なのか。アカデミー賞の成長の時期なのかもしれない。一方的な見方できない。所詮商業。他にも数々の批判もされてきているのだから。
でもさ、よく考えてほしい。アカデミー賞のそもそもの目的は「アメリカ映画の健全な発展」である。トランプ政治や批判に乗っかって、大して面白くもない映画を選出するのは果たして、本当に健全な発展につながるのか。正直「ララランド」が可哀想になってきた。黒人による黒人の映画は良いのに、なぜその反対はダメなの?しかも、出演している白人はセリフがほとんどなく、皆肥満か老人である。これこそ白人差別なんじゃないかと思ってしまった。理解に苦しむ。