クラーナハ展

クラーナ歯展

総合4年 伊東 宏

久しぶりの外出。朝から虫歯の治療をしに歯医者に行き、奥歯をいくらか削った後、上野へ直行。上野に着いた頃にはすっかりお昼時、電車の中では効いていた口の麻酔も徐々に無くなっていき、美術館に着いた頃にはジンジンと痛みが僕を襲っていた。

中世、いわゆるルネサンス期に活躍したドイツの画家。その作品はいかにも中世という感じ、宗教画、肖像画が並ぶ。しかし、やはり今回注目は女性像。

その中でも色々あるがまずはビーナス像。実物を見るとかなり小さな絵、他の一般に有名なビーナスなどと比べると痩身の体だけど、でもこの方が現実に実在する女性を連想させてむしろエロく見える。なんて考えれば考える程に奥歯が痛む。どうやら少し興奮しすぎたようだ。血が奥歯の方に流れているのがわかる。いったん落ち着けようと今回のもう一つの目玉の「ホロフェルネスの首を持つユディト」を見る。割と有名な逸話に基づく絵。実物の絵を見るとこの生首が本当にリアルで怖い、しかしもっと怖いのがこの生首を持って無表情なこの女性、美人なぶん恐ろしい。ダメだ、生々しくて奥歯が痛む。どこかに歯が休まる場所はないものか・・・なんて考えていたらあっという間に見終わってしまった。

西洋宗教オンチに近い自分でも全く歯が立たないわけでなく、結構楽しめたし、そしてクラーナハ本人の絵だけでなく、肖像画として後世影響を受けた絵やオマージュ作品まであり、なかなかユニークで、歯の根も食い合う仲だったという宗教改革のマルティンルターまで出てきて面白かった。これで歯が痛くなければもっと楽しめたなあ、と歯がゆい思いを感じながら、歯ぎしりをして美術館をあとにした。

 

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