「クラーナハ展」コラム 『美意識』

持病が再発し、展示には行けていないので、あくまでもネットでクラーナハの作品を閲覧した感想を述べようと思う。
女性の妖艶な笑み、宗教的な示唆など、印象的なことは色々ある。けれど、描かれた人物たちを見て特に気になって仕方がないことが一つある。

…めっちゃ肌すべすべやないかい。

シミなし、シワなし。東北美人でも持っていないような真っ白な雪肌である。この時代に化粧水なんてあったのか?コレ絶対フォトショで加工してるだろ笑。なんて、思わずそんなことを考えさせられるほど綺麗な肌をしている。23歳にもなって未だにニキビができる現代人の私は一体何なのだろうか。よっぽど当時の裕福なヨーロッパ人は外に出て日光を浴びていないのか。ビタミンD不足が心配になる。
さらに驚いたのは描かれた男性である。髭はヨーロッパ人らしくダンディに生えているのにすね毛が一切生えていない!当時は電動式のシェーバーもないだろうし…刃で剃っていたのか、あるいはもしかして一本一本引っこ抜いてたのだろうか…。何か鳥肌が立った。
冗談はさておき、描かれた人物たちが本当に絵の通りに肌が綺麗で、すね毛が無かったのだとすれば話は別になるが、おそらく当時すでに複雑な要素や生理的にあまり見たくないとされる要素を省略するデフォルメの概念があったのではないだろうかと私は思った。昔の日本の人物絵などでも、実際より凛々しいイケメンに描かれていたりする。写実的に、なるべく忠実に描く洋画においてもデフォルメして描かれたのは画家の美意識が高かったからであろう。…あるいは、描かれたモデルが「美しく描けよ」と脅迫したか、どっちかだろう。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です