ヒトラーの忘れもの
デンマークの海岸に残された、人間が生み出した戦争の忘れもの「地雷」。その大量に埋められた地雷を、見たことも触れたこともない無垢なドイツの少年兵たちが撤去していく、という事実に基づくストーリー。もうこのあらすじを聞くだけでイメージしてしまうのは、少年たちの暗い表情や死。わたしだけだろうか。ましてや事実だったと認識すると、本当に戦争は恐ろしく残酷である。
地雷を撤去するシーンは終始手に汗握ってしまった。特に地雷から信管を取り除いている時は息もつまり、瞬きも出来ない。見ている側でさえこんなにも緊張しているのだから、実際の作業はとてつもない重圧と危険を体中で感じているに違いないと思う。幼い少年たちの演技も素晴らしかった。体を震わせ怖がりながら作業する子もいれば、どんと構えて粛々と作業をこなしていく子もいる。人としてちゃんと扱われもしない、ただの労働力としか見なされていない状況であるが、子ども特有のきらきらとした希望(ここだと故郷に帰ること)が常に彼らの言葉や走り回っている様子などから感じ取れる。そんな家族と過ごしたい、安らぎが欲しい、家に帰りたい、小さな幸せをただただ願っているだけ。そんなに叶わないものだろうか。しかし「あっ!」と思う間もないくらいにその幸せが一瞬で消えてしまう。やはり死を目の当たりにするシーンはとても辛かった。目も耳も塞ぎたくなった。
この辛さがあっても最後まで見続けられたのは、綺麗な海、砂浜、空、少年たちのあどけなさと笑顔があったからこそだった。地雷と死との対比がはっきと浮き彫りになり、その両端とも美しく描写されていた。
年明け早々、良作に出会えた。やるせない歴史の事実をしっかりと自信の目でみてほしい。