最近お騒がせのシャイアも熱演!紛うことなき戦争映画の金字塔『フューリー』

ミリタリーファンが待ちに待っていた映画、『フューリー』が公開された。ハードな戦争ものということもあり、男で埋め尽くされた劇場で席に着くと隣の中年男性の体臭が少しきつかった。外に出てしまおうかという考えが頭をよぎるが、将来自分も娘にそう思われるかもしれないということを考えると泣きそうになり、我慢を決意する。この我慢が今まで体験したことない臨場感を生み出した。映像と音声による戦闘描写は眼を背けたくなるほどの凄惨さで、昨今の戦争映画の中でも群を抜くものがあった。そこに匂いの要素が加わることによって3Dにも勝る自分がそこに居るのではないかという錯覚が生まれた。ありがとう、おじさん。

 

第二次世界大戦末期、ある十字路を守るために300人のドイツ兵と1両の戦車に乗った5人のアメリカ兵が死闘を繰り広げるというストーリーはよくあるものだが、その描かれ方が今までにないものだった。一言で表すと戦争の汚さ100%。劇中、ピンチの場面に味方の増援がやってきて『べっぴんがおいでなすったぜ!』みたいなアメリカ人特有のノリで反撃するというスカッとした展開もないし、仲間はもちろんのこと民間人や捕虜も各種の酷い死に方をして時間が経過するごとに心がゴリゴリと削られる。戦争の実情というよりは悲惨な部分だけ切り取ってできた映画という感じだ。かつて『プライベート・ライアン』を生み出したスティーブン・スピルバーグやトム・ハンクスも、「映画だけでは戦争の実情をすべて語るには不十分」と語っていた。2,3時間という短い時間の中で全てを語ろうとするのではなく、ダークな部分だけを切り取った潔さによってこの映画は単なる戦争映画とは一線を画す作品となった。ストーリーも鑑賞直後に何も言えなくなるほどのパワーがあったが、俳優陣の演技も素晴らしかった。人間特有の良い部分も悪い部分も併せ持つ二面性がブラッド・ピットを筆頭とするベテラン俳優によって表現され、新兵の戸惑いやショックも若手のローガン・ラーマンが見事に演じきった。特にシャイア・ラブーフとブラッド・ピットの絡みがドキドキさせられるので女性にも是非お勧めしたいところである。

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