コーチングの壁と解決法(代理課題)
以下に記すのは、スターバックスコーヒーでのアルバイトで実際に私が経験したことである。
私はアルバイト先で30人程いる後輩たちの人材育成係を担っている。このポジションを任されてから約3年間、楽なことばかりではなかったがその都度周囲の協力を得ながらも乗り越えてきた。その中でも最も大きかった壁が、「オーナーシップを持たせることの難しさ」である。
人から指図されたことに対して高いモチベーションを維持したまま取り組むのは容易くはない。誰しも自分が「こうなりたい」「ああなりたい」そのためには「これが必要」「あれが必要」という、能動的な学ぶ意欲がなければ成長しない。さてここで実際のアルバイトの人材育成の場面を考えてみる。ほとんどの場合は教える人と教えられる側の人に区別され、その結果、どうしても「こうして」「ああして」「それはダメ」と一方的なコミュニケーションになりがちだ。経験が長くスキルもあると、悪気がなくてもこうなってしまうのは仕方なくも思える。しかし、これでは相手側の成長は非常に限られた狭い範囲のものになってしまう。その時は上手くいっているように思えても、実はきちんと理解していなかったり、後々指示がなければ何も動けないような人材が育ってしまう。
このような課題を私は次のように解決した。それは相手自身に徹底的に考えさせる手法だ。効率的で実践的な方法はもちろん私の方がわかっている。答えを教えてあげるのは簡単なことだ。しかしそこをぐっと我慢して、「どうしてそうしたの?」「どうしたらいいと思う?」とにかく本人の言葉でその行動の真意を語らせることを意識した。そうすることで彼ら自身に貢献の領域を自覚させると同時に、こちら側も彼らが大切にしている価値観を共有することができ、継続的な人材育成が行える。これが私が現在進行形で経験しているコーチングの壁と解決法である。