オオカミは嘘をつくと知ってしまった

【一文あらすじ】

残酷な女児殺害事件を中心に、ひ弱な容疑者、暴力的な刑事、復讐に燃える女児の父親の3人が繰り広げるサスペンスムービー

【BIGBADWOLVES】

「BIGBADWOLVES」というのが本作「オオカミは嘘をつく」の原題である。どのような意図でこの邦題にしたのか私はつけた本人に問いたい。なぜなら、この邦題がとても無粋であるからである。本作の重要な場面でオオカミは登場する。そのオオカミが嘘をつくと断言されたところで、もう宣伝されていた「予想を裏切る衝撃のラスト」が鑑賞者に訪れることはない。“新感覚心理トラップムービー”、“本当の悪(オオカミ)は誰だ”と本作のWEBサイトでは謳われている。確かに本作にはこれらの要素がある。鑑賞者をミスリードさせる演出、悪は何なのだと暴力を通して伝えるメッセージ性が本作にはある。しかしこの邦題で作品の良さが半減してしまう可能性が大いにあるのだ。鑑賞中に邦題から察してしまった方には、衝撃のラストが訪れてはいないだろう。私は衝撃のラストが訪れていない方の人間である。従ってここまでつらつらと日本の配給会社への文句ともいえる文章をコラムの半分に費やしているのだ。

 

【作品に罪はない】

容疑者が登場する作品となると、つい犯人が誰であるかということに注力してしまうのが自分である。が、しかしこの作品の楽しみ方はそこではないのかもしれない。過激なバイオレンスと随所に出てくるユーモアには観る者を飽きさせない。ロングショットではあるが首を切り落とされた少女や容疑者への一つ一つの拷問、そこにタイミング良く突如現れるトンチキな音楽は、私達を常に安堵させないものとなっている。好きな人は本当に好きという作品だ。つまり、“クエンティン・タランティーノ大絶賛!”という言葉に魅かれて鑑賞しにきた人々にとっては、とても満足がいく作品となっているのだろうということである。事前情報なしで私のようにふらっと鑑賞しに行く人は注意した方が良い。

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