「ピエール・アレシンスキー展」

生真面目な人?いいえ、健康な人。

総合政策学部2年 石田 理紗子

 

渋谷のBunkamuraではピエール・アレシンスキー展がひらかれている。絵を描くことも絵を見ることも好きな友人に、一緒に行かないかと誘うと断られた。「私、よく意味がわからない絵はこわいの。」だ、そう。なるほど、彼女は宗教画の方が好きらしい。私もわからないよ、と思いながら、Bunkamuraへ足を運んだ。

現代美術を書く人の絵はやっぱり難しかった。何を表現しているのだろう、と頭を悩ませるばかり。「よくわからないわ」と言っているおばさんの一言にホッとしたくらいだ。しかし、もしかして生真面目な人なんじゃないかしら?と同時に考えていた。しばらくは鉛筆で書き、オレンジの皮を描き続け、大きな油絵を描き、筆を習えば筆を使い、手紙や地図の上に絵を描くことに目覚めればそれを遂行し、円に描くのがいいのだと思えば何年も描き続け、縁のこだわりはずっと捨てずにいた。彼は、自分でルールを作ったらきちんと守る生真面目やさんかもしれない、きっとそうだろう。そんな感想を持ち帰った。

夕ご飯のとき、兄は豆腐を食べていた。今ダイエットをしているのだろう。豆腐はいつまで続くのだろうねぇなんて母がぼやいていた。ここ1週間くらいは豆腐生活。この前のダイエットはポテチ禁止生活だった。その前は納豆。兄にはダイエットのブームがある。ブームがきたら、彼はきちんとルールを決めて守る人だ。しばらくは。…あれ、もしかして。

ピエール・アレシンスキーもブームに乗っかって絵を描いているのかもしれない。そうかそうか、心のままに、ブームに従って描いているんだろう。なんとも心が健康そうな人だ、と捉え直した。そういえば、見た目も90歳にはとても見えないし。心が健康って、こういうことなのか、と心に違う意味で栄養をもらった気がした。あれ、絵はどうだったっけ。うーん、もう一回行くかな。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です