天才

フィッツジェラルドやヘミングウェイを見出した名編集者パーキンズが言う。「タイトルが君の本の肝心な部分をとらえてないきがするんだ。Trimalchio in West Egg(グレートギャッツビーになる前のタイトル)かThe Great Gatsbyの2つの本が並べられていたらどちらを選ぶかい」さて、この映画「ベストセラー」の原題はGeniusだが、ベストセラーかGeniusどちらが映画の肝心な部分を抑えているか、見た人には明白だろうが。頓知を働かせているのかな?とまあ皮肉たらしいことを言うのはやめにして。

私はこの映画をみたときに、2つの映画を思い出した。

一つは「キルユアダーリング」というビート文学(アンダーグラウンド社会に生きる若者たち)で有名な詩人ギンズバーグに起きた実際の事件と彼のミューズについての映画だ。美しく情熱的な文章を書き、パーキンズに見出されベストセラーになるも、自分の才能を信じきれず不安定な小説家ウルフ。そしてミューズに出逢い、世間に反骨する世界を見出すも、ゲイというパーソナリティに悩まされる詩人ギンズバーグ、この二人を無意識のうちに重ねてしまった。一般的に幸せと思える人生に幸せを感じられない二人。それが天才の性なのだろうか。

二つ目は「ジャージーボーイズ」というイーストウッドによるThe Four seasonsのボーカルフランキー・ヴァリの自叙伝に基づいた映画だ。正直、エンターテイメント性から考えると断然「ジャージーボーイズ」が面白いのだが、かかりつけの歯医者さんにその話をした所、まあ確かに面白いけど、正直あれはフランキー・ヴァリの武勇伝よねと指摘をされ、思わず納得してしまった。あーだからエンターテイメント止まりなのかと。それに比べて、この作品は伝記的ゆえか、キャラクターの両面をきちんと捉えて描くことができ、脚本自体にメリハリもある。すなわち名作なのだ。

 

映画の出来栄えもGeniusだった。

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