正義の平衡装置 イコライザ―
予告もホームページも見ないまま観にきてみた「イコライザー」。物騒なポスターだなぁと思いながら映画館に入る。でも始まってみると全然違うじゃない!ホームセンターで働く穏やかな男が夜にはカフェで本を読んでいる。あれっ、ポスター見間違いだったかな。
と思っていたらホームセンターの従業員、とんでもない奴だった。やられたなぁ。カフェで出会ったロシア人娼婦の女の子がマフィアの手で苦しんでいるのを「どうにかできる」奴だった。実はこの男、デンゼル・ワシントン演じるマッコールは19秒で世の不正を完全抹消してしまう、正義の人殺しなのである。しかも彼、銃なんか持ち歩かない。拳やコルク抜き、時には商品のハンマーを使って「抹消」するのである。あぁ、イコライザーって、てっきり英俗語の“銃”を示していると思ったんだけど。こっちの方がかっこいい。
本作は80年代にアメリカで人気を博したテレビドラマの「ザ・シークレット・ハンター」シリーズのリメイクである。ニューヨークが舞台のオリジナルとは違い、ボストンが舞台となる。日常風景があまりにも普通で都会すぎず共感を呼ぶ。なんたって深夜の豪雨の代わりに電気が消えたホームセンターのスプリンクラーですよ。それでもハリウッドらしいヒーロー万歳のご都合主義炸裂。少し可笑しい感じのかっこよさが、少しお腹が出たヒーローにはちょうどいい。
日本の公式の解説では「イコライザー」という言葉を「抹消」と扱っているが、本来はequal(イコール)の類語であることからもわかるように「等しくするもの」という意味である。彼は抹消装置というより、世の不正を真っ平らに正してしまう平衡装置なのである。うーん、余計に正義の味方感が強まった。