夕焼けと夜の間 代理課題 山中一宏

昨日の午後5時過ぎくらいのことだった。いつものようにバイトに行くため外に出ると、空の色合いが美しく、ぼんやりと見とれてしまった。頭上には完全な夜の黒とは違う青みがかったような優しい色が広がり、まっすぐ前を見てみると町並みと空の間の少しの部分だけ夕焼けのオレンジがその存在を主張している。夕焼けとも夜とも違う空を見て、この空は一体なんというんだろうと思いながら出勤した。

今日になってその事を思い出し調べてみると、どうやらブルーモーメントというらしい。日本だと天気のいい日没直後の数分しか見られない、と書いてあったので少し疑わしいところではあるのだが、画像と記憶を照らし合わせる限りこれであっているようだ。思っていたより珍しいものを見れたようで、少し気分がよくなっていたところ、日本語ではブルーモーメントを指す言葉が直接は存在しないことを知った。薄暮が似たような感じで使われるそうだが(薄暮で画像検索するとブルーモーメントが出てくる)厳密には違うそう。時刻や空の色合いを表す言葉が日本語には多いイメージがあったので、これは意外だった。

私のイメージが間違っているのかと思ったが、やはり日本語には時刻を表す言葉が多い。暁、曙、彼は誰時、未明、黎明、夜明け……夜から朝へと移りゆく時間の中でも多くの言葉がある。英語だと全てdawnで片付けるところを、一つ一つ名前をつけるのがなんとなく日本らしさを感じる。流れる時間の一瞬一瞬を切り取って、そこに名前をつける、というのはその一瞬一瞬の中に何かを読み取り、なにかを感じたからこその行為だろう。そう考えると、一瞬の儚さだったり、美しさだったりを重んじる日本の文化が、そういった言葉の端々に現れているように思えてきて、ちょっといいなと思った。

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