デトロイト美術館展
月曜日、授業の合間を縫ってデトロイト美術館展に行ってきた。上野駅の直ぐ近く、「上野の森美術館」という名前だが、綺麗に舗装された道路に現代的な建物しか見当たらない。森ないじゃん。心で毒を吐きつつ、階段を渋々のぼると、おおっとなった。手のひらを返します!階段の先には、開けた土地に木々がバランスよく生い茂り、ベンチなどもあって、活気がある。木漏れ日も美しく、まさに都会の中の隠れた公園という感じだった。こんな魅力を隠し持っていたとは…。
実はこの日、月曜日にこだわっていたのには理由があった。公式ホームページによると、毎週月・火曜日は全作品撮影可能だという。また、フラッシュさえ炊かなければ、どのようなカメラでもいいらしい。それには誰のためにもアートを、というデトロイト美術館の主義が反映されている。昨年の夏MoMA(NY近代美術館)を訪れた際も、This is for everyone.というテーマで人々が触れる多様なアートについての展示があった。芸術を身近にしようとするのは最近の傾向なのだろうか。デトロイトは一度市が経済破綻しそうになったという。そこで絵を売ることで財源を確保しようともしたらしいが、市民らが猛反発をして、絵を守ったそうだ。こういうところもこの主義とつながっているのかもしれない。
正直絵はあまり詳しくない。ただ、錚々たる作家たちを並べてはいたが、作品自体にはそこまで感銘できないな、と個人的に思ってしまった。また、絵の撮影に熱心になりすぎてる人が目立った。絵を誰のためにも、というコンセプトではあるが、生と写真では雲泥の差がある。画家の呼吸、視点は生で見なければ感じられない。絵の具でてきた凹凸は写真で眺めてもわからない。これでは、アートにもっと気軽に触れてほしいから、という意図があったとしても人々には伝わらない気がするのだが。わずかな残念な気持ちを残して鑑賞は終わった。