国宝展

国宝展

 

正倉院にある宝を生で見られるなんて、これほど貴重な展覧会はないだろう。しかし、国宝展というタイトルは、いかがなものか。シンプルであるが、結局何を見せたいのかが分かりにくいのではないか。ただ、貴重なものを寄せ集めして、まとめてドンッと置いているという印象を受けた。せっかくの豪華で、歴史があり、見るものを驚かせる宝たちが可哀想である。宝の持ち腐れではないか。

中国や朝鮮半島からの文物もあるのが、日本らしくてよいと思った。国宝展というタイトルからも、日本国のものに限定することができるだろうが、あえてそうしないところが、日本の文化圏の広さを示している。見方によれば、今後もアジアと連帯し、文化的発展を遂げることを示唆しているようにも感じられる。

この展覧会の最大の課題は、国宝とは、何のためにあり、今後どうするべきかというのを私たちに考えさせなければならない点だろう。少なくとも、私は教科書でしか見た事が無かった金印を生で見られて、テンションがあがったに、過ぎない。今後、日本はどんな物を国宝にしないといけないのか、訪れた人に考えさせなければ、展覧会の意味がない。調理して、味合わせるのが展覧会の意義であると私は思う。しかし、これでは展覧会がきまぐれにいい素材を収集したようにしか見えない。シェフが料理をしないのは、いかがなものか。少し、がっかりした。

ただ、たしかにシェフの腕は、一流なので時を超え、全国津々浦々から最高の品が揃っていることは間違いない。生で見たものは、感動を覚える。だからこそ、調理をしないのはもったいない。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です