ジャージーボーイズ

どこかで聞いたことある音楽
~映画 「ジャージーボーイズ」~
総合政策学部4年
高瀬潤
71035214

誰しもどこかで聞いたことがあるが、歌手や彼らの歴史背景について知らない音楽というものがあるだろう。よっぽどその音楽に興味を持つ事が出来れば、その音楽について調べ、更に運が良ければその歌手について知り、ファンになることもある。しかし大半の音楽はそれも叶わず特徴的なメロディーだけを残し人々の「記憶」の隅に埋もれてしまう。
「ザ・フォー・シーズンズ」の曲もそれが大半だと思われる。彼らの音楽はあまりにも有名になりすぎてしまい、現在までに多くの歌手にカバーやアレンジがなされた。それにより音楽自体は知っているが元祖オリジナルで歌っている彼らについて詳しく知っている者は少ないのではないだろうか。
映画「ジャージーボーイズ」はそんな彼らの栄光と挫折を描いた物語である。傍から見ればアメリカンドリームを手に入れた典型的なサクセスストーリーなのだが、そのサクセスストーリーの裏側を覗いてみると葛藤と不満が複雑に絡み合ったキャラクターたちの気持ちが渦巻いている。リーダーで自分勝手なトミー、為すがままにされ不満をため込んでいくニック、真面目で常に堅実家のボブ、そして天使の歌声を持ちながらも仕事と家族で板挟みになってしまうフランキー。この個性的な4人の音楽が売れていくのに反比例して堅い絆が解けていくさまは何とも胸が締め付けられる。
そんなストーリーでもさすがは名匠クリント・イーストウッド、映画としてのクオリティは彼の作品の中でも最たるものであり、またキャストの演技・歌唱力も絶品である。単なるミュージカル作品として映画が残るのではなくそこに含まれるヒューマンドラマには心が「キュッ」とし、劇場でエンディングロールが流れる頃には自分も含め、周りから鼻をすする音が5.1chサラウンド並に聞こえてくるはずだ。きっとこの作品を観れば帰りにCDを買って彼らの音楽を聴いても「記憶」の隅に埋もれることなく、思い出の1曲として「心」に刻み込まれるだろう。

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