クラムチャウダーのように
数年前から、「学生 島耕作」という作品が始まった。連載開始時は、「ついに学生かよ。」と苦笑いが止まらなかった。作品は題名の通り、島耕作の受験から始まり、“ワセダ”での学生生活を中心に進んで行く。時代は、学生運動全盛期。島耕作は、バリケードを通って受験会場に向かい、入学すると、当然学生運動に躍起になっている学友、通称“クラムチャウダー”も現れる。島耕作は、社会に疑問を持ちながらも、学生運動という行為にも何か疑問を抱いていく。「安保闘争」、「東大安田講堂事件」と、これらを歴史の1つの出来事としてしか知らない私にとって、当時の学生がどのような思いで、世の中を動かそうと思ったのかが少しわかったような気がする。
島耕作が学生だった昭和40年代から、20代の投票率は半分以下になっている。私は、現在21歳、あと数ヶ月で22歳になる。投票をしたことは未だにない。面倒だ、どうだ、という以前に、そもそも興味がない。そして、選挙権を持つことが当然となった今、自分の一票で何か変わるわけがないと、冷めきっているのかもしれない。かつて、父が「学生運動が正しいとは思わないけど、今の学生より世の中をどうにかしたいという思いはあったんじゃない。」と言った。「学生 島耕作」のなかで、学生運動に奔走する島の友人、“クラムチャウダー”は、島と比べて、どこか狂気的で、そのあまり理屈もめちゃくちゃになっている。しかし、世の中を変えたいという思いだけは誰よりもある。確かにそのような思いだけでは世界は変わらない。だけど、その思いがなければスタートラインにも立てない。そもそも、冷静さと情熱を併せ持つことは若者には難しい(情熱と冷静さを兼ね備えた、学生の島が異常なだけである)。
今回の参院選で、10代の投票率は、まずまず良かったようだ。10代が選挙権を持つことが、私を含め若者にどのような影響をもたらしていくのか気になるところだ。