タブーに挑戦した作品
裏社会の世界を題材に作品を作る。考えるだけでもタブーである。
ツッパリや犯罪者などが主人公のゲームは今まで数多く存在した。
しかし、日本の裏社会を舞台にしたヤクザが主人公のゲームは存在していなかった。
理由は考えるまでも無い。手の届く意外と近い距離に彼らがいるからだ。
素人からすれば、いつどこからどんな圧力がかかるかわからない。そんなことさえ考えてしまう。
「龍が如く」
この作品はその前代未聞のタブーに踏み込んだ。
関東の指定暴力団を牛耳る裏の組織「東城会」を舞台に様々な人間ドラマが繰り広げられる暑苦しい男たちの物語である。
東城会直参堂島組若頭桐生一馬。それが主人公の名前と初作の肩書きだ。
物語は彼が逮捕されるところから物語は始まる。
幼馴染の女性に暴行を振るおうとしたのを止めようとして自分の組の親である組長堂島宗兵を殺害してしまったのだ。
警察に包囲された彼の表情はどこか悲しそうだった。
こうして「親殺し」の肩書きを付けられて裏社会から追放された桐生だが、この親殺しの事件には裏があった。
桐生一馬は堂島宗兵を殺していない。その真の犯人は錦山彰。主人公桐生一馬の無二の兄弟である。桐生は錦山の罪をかぶって捕まったのだ。当時錦山には病気持ちの妹がいた。最後の手術を控えており、親がいない錦山にとって妹の手術には覚悟が必要だった。そんな大切な時に妹のそばにいてやれないでどうすると、桐生は錦山がしてしまった罪をかぶる覚悟をしたのだった。
10年が経った。
その月日は街も時代も姿を変えた。
服役期間を終え、歌舞伎町へと帰ってきた桐生。聞けば東城会にはあたらしい組ができ、その組長は手段を選ばず成り上がる極悪非道な人間だという。
弟分だった田中シンジも出世し若頭になっていた。その田中シンジの口から出た言葉に桐生は言葉を失った。
「自分そのあたらしい組の若頭させてもらってるんですが、錦山組っていうんですよ。錦の叔父貴はもう昔のあの人では無いです。」
10年経ち兄弟は鬼へと変わっていた。
このゲームはシリーズ化され今7作品と外伝が2作でている。どれも熱く深い人間ドラマに溢れており、久々に展開が予測できない濃い話になっている。
このタブーに挑戦するだけあって制作側の覚悟が見て取れた。登場人物には様々な芸能人を起用し、まるでヤクザのドラマを演じているかのような内容に仕上がっている。
次回作も予定されており、日本でもかなりの人気シリーズになった作品である。