強欲な洋服(『ISSEI MIYAKE展』代理課題)

服は好きだ。一番簡単に自分をよく魅せられる手段だからだ。服は、着ればいいのだ。それだけ。なんてお手軽に手っ取り早く自分を飾ることができるんだろうか。だからたまにいる、気を使いもしていないのに「俺もお前みたいにモテればなー、あー彼女ほしー」ってやつが、ムカつく。まず、服をなんとかしろよ。俺、服とかなんでもいいからさ?鏡をみよ!適当な格好で君は魅力的に見えるか!?おしゃれにならなくてもいい。小綺麗にすれば、性格によほどの難がない限り、ある程度の収穫は期待できるはずだ。見た目じゃなくて中身だろ!っていうのは一定の見た目をクリアしてからのこと。もったいないぞ!男子諸君。
 話がずれてしまった。そう、私が今回お話したいのはもっと上の次元のお洋服の話。洋服が科学していた、『ISSEI MIYAKE展』
 パリコレに代表される、ランウェイの上の洋服、というのは常人には着こなすことが難しいばかりか、本当におしゃれなのかどうかよくわからないことが多くある。構造さえもわからない。正直、並べられた過去コレクションの服もおしゃれなのかはよくわからなかった。しかし『一枚の布』というコンセプトの元に作られたと思うと面白い。あんな複雑怪奇な洋服も、もはやプラスチックの洋服?(鎧と言った方がイメージしやすいかもしれない)一枚で作る。その頑固さはなんとなく日本人らしい。
 一番面白かったのは、折り紙から着想を得たシリーズの洋服のミニチュアをマネキンに着せるという体験コーナー。これが服なのかという形で畳まれている布を持ち上げると、普通の感覚からもモードなかっこいいドレスが現れる。畳むのも、洗濯するのも大変そうだけど、いい!と思わされた。これもまた、一枚。彼の洋服は着る人間を想像させない冷たさを感じる。しかし、それはきっと逆なのだ。どんな世代、人種、性別にも着て欲しいというのは全人類に愛されたいという欲深さの表れなんじゃないだろうか。

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