投票失敗
7月10日、日曜日。暑い。日差しが痛い。そんな中、次にこの国がどこに向かうのかを決める、参議院選挙が行われた。
正直に言おう。参院選どころではなかった。日程が舞台の本番とダダかぶり、しかも風邪という最悪なコンディション。そんな私が一体どうしたら、国の行き先なんて考えられるだろうか。目の前で繰り広げられている、私の旦那役の男子争奪戦から、いかに本番前に彼との時間をもぎ取るかの方が差し迫った問題だったのだ。
本番終了後、時間があいた。投票にでも行くか、と気軽な気持ちで指定の投票所に向かった。行けば色々わかることがあるだろう、とにかく行って白票を出さないのが大事なんじゃないかな。自分の選挙区から出馬している人間の名前もほぼ知らず、投票所についた。投票所にはなんの情報もなかった。紙を回収され、パンフレットみたいなものが出てくると信じていた私は、受付に立ち止まる。当然そんなことはありえない。おばさんに、あら、初めての投票なのかしらね〜、初々しい!という顔をされながら先へと促される。すぐに後悔が私を襲う。誰が何を謳ってこの選挙に挑んでいるのか、何も知らないのに投票することになってしまった、と。そこからは、投票用紙がやたら書き心地がいいという感触しか記憶に残っていない。
自宅に帰ると家族が投票に行くところだった。彼らは投票所で久しぶりのご近所さんに会ったらしい。家族の一イベントとなり、思いがけない出会いという意味でも参院選は貢献してくれたらしい。
無知であることが少し悔しかった。折角ならきちんと考えたかった。若者の有権者数を増やす為、引き下げられた年齢基準。数々の若者が選挙デビューを果たした。確かに母体数は増えるかもしれない。でも私たちは忙しい。その上その辺の大人のように選挙慣れできていない。年齢による一票の格差。選挙教育。この2つも課題になってくるのだろう。次はきちんと予習をしてから挑もうと思う。少しでも格差を埋めるべく。
総合政策学部4年 吉岡優希