参議院選挙を終えて
7月10日の参議院選挙は、誰もが予想出来たように与党、自民・公明党の勝利で終わった。さらに議席数は憲法改正の発議に必要となる衆議院・参議院の議席数の3分の2以上を確保し、圧勝と言え、これまでの安倍政権の中でも特に政権基盤は強固なものになった。選挙の争点としては、「アベノミクス」「憲法改正」の主に2点が上げられたが、ほとんどの有権者は「アベノミクス」の経済政策に重点をおいて見ていたのではないか。確かに「アベノミクス」の効果は、数値としても表れており評価すべきで、さらに今後の景気回復も期待する意味で支持した、というのは間違いではない。しかし「憲法改正」も挙げられつつそこまで触れられなかったのだが、結果としては自民党が理想とする、憲法改正草案を現実にする一歩を踏み出すこととなった。今、戦後の日本において非常に重要なターニングポイントを迎えている。世界大戦でアジア各地を侵略し、植民地化した日本が、敗戦後に新しい平和な国家を築こうした。そして現在の日本国憲法が作られたわけだが、以前の大日本帝国憲法との明らかな違いは承知の通りだろう。
改憲するとどう変化するのだろうか。例えば天皇の地位は日本国の「象徴」から「元首」となり、平和条項である9条は事実上破棄となる。自衛隊は「国防軍」となり、国際社会の平和と安全を守るという名目で世界各地に派遣され、紛争などに介入することが可能になるのを意味する。そして昨年議会の中心となった「集団的自衛権」をさらに助長する結果となるだろう。平和主義を掲げてきた日本が途端に崩れさり、国家間の緊張状態と争いが頻発する未来が容易に想像出来てしまう。現在も何かと耳にする対中国や対朝鮮半島における状況を考えると、ただ悪い方向にしか影響しないように思う。
平和を強く謳ってきた日本国民はこの選挙の結果を深く受け止めなければならない。世界に目を向けると、ブレグジットは大きな影響を及ぼしたし、アメリカ大統領選もこれからの情勢に影響するに違いない。私たちが下した判断がどのように影響していくのか。この目でしっかりと見つめていこうと思う。