How to see the movie (ヘイルシーザー)

 とある面接で聞かれた。
「『ヘイル、シーザー!』を、コーエン兄弟を知らない人にオススメするなら、どう伝える?」

 映画が大好きな人が、映画を使って、お金を使って、とにかくやりたいことをやってみた映画。これが私の見解だ。

 舞台は1950年代ハリウッドの映画スタジオ。予告では、映画撮影中に起こる大スター誘拐事件に焦点を当てられていた為、そういうつもりで鑑賞しにいったら、そんな簡単な話ではなかった。
 主人公エディはあるスタジオの何でも屋。どんなスキャンダルでも解決する。この時代の俳優ときたらぶっ飛んでいる。いや、今でもハリウッドはそうなのかもしれないが。
 鑑賞後、妙な清々しさを感じた。映画のテーマは、「オレらは映画が大好きだ!」ということなんだろうと思ったが、それ以上に、一回でも多く笑かしてやろう、という意気込みが何よりも色濃い。
 例えば、序盤にドンと構える製作途中の映画の数々。確かにすごいクオリティなのだが、どうしても忍び笑いが堪えられない。あのシンクロ映画のシーン、お金かかってそうだけど、そこにお金かける必要あった?カウボーイの彼、全然中身がないけど、どうしてアクションだけ無駄にすごいの?ド派手なミュージカルシーン。あの一曲を通して私に伝わったことは、海に出ると女がいないってことだけだけど、OK?ツッコミどころは満載だ。
 私たちを笑わす為に、細部まで整えているのが、さすがプロ。あなたは気づいただろうか、大スターを誘拐した、脚本家の共産主義者連合が読んでいた雑誌の名前は『LIFE SOVIET』だったことに。これに気づいた瞬間、私は忍び笑いを放棄し、豪快に笑った。
この映画は、かの時代への敬意、映画愛に溢れている。どの評論家もそう記すだろう。でもきっとそれだけじゃない。現代のスクリーンの前で悠然と感情を抑えて鑑賞している、そんな奴らを動かしてやろうとしたのではないだろうか。隣で大口開けて笑っていられる、そんな人と見に行くといい。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です