MR. NEVER DIE
+15R表記を確認していなかった自分を悔いた。派手なアクションと過激な描写に気づいたときには、私は大半を目を伏せて音声のみで観ることとなった。そう、私はこの手の映画、拳銃や火や身体的苦痛を伴う描写を観ることができない。
末期の癌を宣告された彼は、大切な人と長く一緒にいるために悲惨な人体実験の被験者として己の体を差し出した。想像を絶する苦痛を与え続けられ、彼の身体に注入された細胞が活性化したとき彼は人間を超えた。何度傷つけられ、どのように痛ぶられても驚異の回復をしてしまう能力を、酷い顔面を引き換えに手に入れる。彼はこのような自分に変えてしまった男を追跡し始め、最中に最愛の人をさらわれてしまう。彼女を助けるため、そして自分のために闘う男の物語であった。
愛とは、何と優しく強いものであるか。どんなきっかけであれ、一緒にいる理由を見つけた2人の絆はとても深く誰にも侵害できない。この派手なアクションや惨い演出のなかであるからこそ、強く優しい愛が色濃く表現されていた。吹き替えの文字を追い続けることでやっとであった私は、この映画の派手なアクションを無駄にしたが、その分ぎゅっとなる愛を感じた瞬間には心が温かくなった。
人は他の誰かではきっとだめなのだ。あなただけ、ただ1人あなたのためである。彼は、きっと彼女を守れるだけ強くなりたかった。弱い自分に打ち勝ちたかった。そして、彼女とずっと一緒になんて淡い夢を抱いた。そのために彼は甘い誘惑に負けてしまった。どんなになっても彼女を追いかけては見守る様子には深い哀愁を感じた。
この映画を派手なアクションだと思い込み、残虐な映画、もしくはコメディだと決めつけていた。が、違う。作中にもあるように、ラブムービーである。決して終わらない深く強い愛の物語。いつまでも人と人とが愛し合う普遍的なテーマが強く描かれていたからこそ、この映画はこんなにも甘く感じたのだろう。