若冲展

生誕300周年ということで東京都美術館にて開催されている「若冲展」。かなりの盛況ぶりが伝えられている。会場には若冲の代表作が一挙に集められ、日頃目にしない作品もあり、貴重な機会となった。

 

この展覧会の目玉の一つである「動植綵絵30幅」と「釈迦三尊像3幅」が並べられた様子は圧巻の一言であった。まず目を引くのは色彩豊かな彩色美、そしてその色合いを最大限に引き出している一つ一つの動植物の緻密でリアルな筆致が描き尽くされている。その繊細さの中に若冲の動物への愛情やユーモアを感じられ、生きる時代が異なるとも、どこか共感する親しみやすさがあり、心を寄せたくなる。次々に目に留まる色彩もただ華美で飾っているのではなく、上品さを兼ね備える美しさで、植物に関しては、四季折々の取り巻く香りが弾け飛んで漂ってくるような描写であった。

 

この緻密な描写は若冲の素晴らしい観察力により生まれたのだろう。

模写をする日々の中、若冲は「絵から学ぶだけでは絵を越えることが出来ない」と思い至り、目の前の対象を描くことで真の姿を表現しようとした。生き物の中に「神気(神の気)」が潜むと考え、鶏を数羽飼い始めたが、すぐに筆を動かさずに朝から晩までひたすら観察し続けた。そして1年が経ち見尽くしたと思った時に「神気」を捉え、筆を動かし出したと言われている。やがて鶏だけでなく、木々や岩などにも「神気」を捉えられるようになり、あらゆる生き物や自然を描けるようになった。

その動植物の「神気」を徹底的に見抜き描いた「動植綵絵30幅」は日本絵画を代表すると言っても過言ではない。30幅の中に濃密な生命が所狭しに凝縮され、息が詰まる。動植物をありのままに描いた写生であるのに、若冲のその奇想な表現力や遊び心が垣間見れるところから、まさに天才と言われるのも誰もが納得であろう。

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