人の振りみて我が振り直せ
映画『ROOM』、検索。あらすじを読むと妙なデジャヴュを覚えた。監禁、誘拐、一部屋、女。あ、朝霞市の少女誘拐、帰還事件。お茶の間を賑わせた、最近のアツイニュースじゃないか。意外と知名度がないな、この映画。え、似ている、よね?
狭い部屋。ジャックだから男の子かと思ったら、少女とも少年ともつかない長い髪をした子供。混乱した。でもそれでいい。時期にわかる。Good morningとママ、そして部屋の道具たちに声をかける。彼には部屋が世界の全て、外はない。次第に理解する。そう、ジャックはこの部屋から出たことがない。そこでやっと髪の意味に気づくのだ。でも私達はその閉じきった世界の平和さに微笑みすら、もらす。だって今日は彼の5歳の誕生日。二人は楽しそうだから。ケーキは完成したが、ロウソクがないことに外国の子供特有のわがままっぷりを発揮するジャック。「日曜の差し入れで頼んでよ!オールド・ニックに!」大げんかの親子。オールド・ニック?大丈夫、焦らないで。夜になればわかる。クローゼットで眠るジャック。大人だったらわかる、ママはニックと何をしているか。
一緒に反省してほしい。似ている、と思った貴方は見続けて欲しい。二人が命がけで脱出を果たしたその後、新しい「世界」の対応を。かなりリアルな対応なのではないだろうか。その優しさ、軽蔑、好奇心。キャスターの女性の不躾な質問はやり過ぎなのではと思ったが、私達は誰しも、彼女のようになりうるだろう。
ニック、監禁した男側の心理描写をもう少し見たかったが、罪悪感を覚える程、リアルだった。
なぜこんなにリアルなのか。これはジャックの子役の功績が大きい。ROOMから世界へ。「ママといれたROOMに帰りたい」と漏らす純真な残酷さ。子役って、もう、なんなの。大人の俳優陣をしっかり牽引していた。私が5歳の時なんて、セーラームーンごっこが関の山だったよ。あの子本当にROOMにいたんじゃないだろうか。
総合政策学部 吉岡優希