マスコット・ウォーズ 〜スター・ウォーズ/フォースの覚醒〜

小山峻

 

小柄ながらも幾度も主人公達のピンチを救い、幾つもの可愛らしい一面を見せてきたドロイドR2-D2。彼は約40年間、スターウォーズを代表するマスコットとして多くのファンから愛されてきた。しかし彼の不動の地位を脅かす暗黒面が、今作エピソード7より現れる。

その名は新型ドロイドBB-8。サッカーボールほどの胴体にR2-D2と似た頭(?)を乗せており、その姿は雪だるまのよう。名前の由来も「大小の円が2つ重なっている姿が8やBに見えたから」らしい。胴体部分のみをコロコロ転がすことで移動するのだが、これがCGでなく現在の技術で実現させているというのだから驚きだ。R2-D2の中にオッサンが入っていたのを知った時以来の衝撃である。

頭が落ちやしないかとヒヤヒヤしつつBB-8を目で追っていると、次第に彼の果てのない可愛らしさに気づいていく。バリエーション豊富なパピプペポ音や左右に回転する頭は先輩譲りだが、BB-8最大のチャームは、胴体が球体でありその表面を頭が自在に動くことにある。つまり頷く、首をかしげるといったジェスチャーが可能となるのだ。チワワの眼のようなくりっとしたレンズで主人公レイを見上げたり足元をじっと見つめたりと、細かな仕草がいちいち可愛い。特にサムアップのシーンは反則だ。わずか1秒にも満たないカットなのに、一瞬で見る者の頬を緩ませる破壊力を持っている。現に私が行った劇場で観客が一番揺れ動いたのは、親殺しのシーンでもルーク登場のシーンでもなく、BB-8のサムアップであった。大御所のインパクトをもねじ伏せる、期待だらけの新人登場である。

顔はないが表情豊かなBB-8。彼の登場は、スターウォーズにおけるマスコット界のパワーバランスをデススターの如く著しく掻き乱した。今まで玉座に踏ん反り返っていたR2-D2の立場も、非常に危うくなっている。しかし内面に関して言えば、R2-D2の方が「火の鳥」のロビタのような人間臭さがあってよい。何よりC-3POとの掛け合いは、R2-D2でなければ張り合いがない。マスコットに求められるのは見た目か中身か。スターウォーズの「顔」を賭けて、R2-D2とBB-8がスタンガンをぶつけ合って戦うであろうエピソード8に期待である。

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