グラディエーター
総合政策学部 4年 澤津 勝人
グラディエーター、エイリアン、ブレードランナーで有名なリドリー・スコット監督と剣闘士並みに血の気が多いラッセル・クロウがコンビを組んだ作品が、グラディエーターである。この2人は近い将来に同ジャンルの歴史映画であるロビンフットで再びタッグを組むことは、その当時知る由もなかった。時代背景は、西暦180年で、ローマ帝国の治世である。将軍マキシマスはアウレリウス帝から皇帝の座を託したいと要請を受けることとなる。しかし、野心家の息子コモドゥスによって皇帝は暗殺され、マキシマスは処刑を命じられた。処刑者の手を逃れたマキシマスだが、妻と息子は惨殺され絶望と疲労の末に倒れ、気づくと奴隷として闘技場で戦う剣闘士となってしまう。次第に剣闘士として頭角を現し仇敵コモドゥス帝と対面を果たす。その夜、かつて恋仲だった王女ルッシラから皇帝暗殺の依頼をされてしまう。姉の裏切りを察知したコモドゥスは策を弄した末、コロセウムでマキシマスと直接対決を決意する。かくしてマキシマスはコモドゥス刺し違えるのであった。この映画は切ないストーリーもさることながら、やはり最大の魅力は迫力あるコロッセオでの戦闘シーンであるだろう。その迫力を生み出したのはプライベートライアンでも取り入れられた様々な武フレーム率と複数のカメラを使った撮影方法である。また器、甲冑、衣装など映画を彩る多くの小物は他の映画の使い回しをする事なくオーダーメイド品であった。更にホルストの「火星」を連想させるBGMは戦闘シーンの迫力を更に盛り上げ、視覚だけでなく聴覚からも戦いの臨場感を味わうことができる。ただ単に観客に映像としての爽快感を味わわせるだけでなく、物語の世界に引き込む名作と成り得たのは、アカデミー賞の作品賞と並びに主演男優賞を受賞したラッセル・クロウの屈強でありつつもどこか悲しげな表情をしていた彼の名演があったからだであると言えるだろう。