『PiCNiC』

『PiCNiC(映画)』

 

彼らの救いは「この世の終わり」。死して初めて、全てのしがらみから解き放たれる。

 

双子の妹を殺し、精神病院に送られるココ(Chara)。そこで彼女が出会ったのが、同じく過去に「ワケあり」のツムジ(浅野忠信)。ココに想いを寄せるサトル(橋爪浩一)。「世界の終わりを見にいこう」と病院の塀の上を歩き、彼らは病院の外へピクニックに出かける。

 

まず始めに驚いたのは、70分という上映時間。短い。限られた時間の中で映画としてどこまで表現するのかが楽しみで仕方なかった。

塀の上を歩く三人の姿は、作中でも言及されていた通り「天使」のよう。精神障害を抱える彼らのその行動は、おおよそ人間とは思えない。だが、そこに存在するのは間違いなく、私たちと同じ人間。

 

「世界の終わり」を求め、ひたすら塀の上を歩き続ける。病院の外に出たことに興奮しているようにも、楽しんでいるだけのようにも見える。だが、彼らの背後にべったりしがみつき離れないのは「人間を殺した」という事実。

 

「太陽が死ねばこの世は終わる」夕日に向かって拳銃を放つツムジだったが、後に残るのは虚しい銃声の余韻。

「あたしが死ねば、この世は終わるのよ。」ココの構える銃口の先に太陽はない。

飛び散る漆黒の羽。ココを必至に抱きとめるツムジを夕日が照らす。

 

福田周平

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