エール!

環境情報学部4年

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子供はいつか親の元を離れる。そのタイミングはそれぞれだが、きっとどんな子供にもいつかは訪れる瞬間だろう。
「エール!」
この映画はその幾多とある親離れの中で最も困難かつ感動的な旅立ちを描いている。
主人公はある田舎町で農家を営むペリエ家の長女ポーラ。彼女は口は悪いが家族思いの父と美人で陽気な母、女の子に興味津々の思春期真最中の弟を持つ高校生。家族はとても仲が良く農家の仕事にもやりがいを感じていた。しかし初めてこの家を訪れた人は口を揃えて父や母を「変な人だ」という。それは挨拶をしても何もレスポンスを返さないから。無視をしているわけではない。彼らにはその挨拶が届かないのだ。主人公ポーラを除いた3人全てが耳の聞こえない障害者なのだ。家族でただひとり耳の聞こえるポーラは家族の耳として毎日を過ごしていた。
ポーラはある日少し他の男子生徒とは雰囲気の違うガブリエルに惹かれコーラスの授業を履修する。そこで、ポーラは音楽の教師であるトマソンに「いい声を持っている。音楽学校のオーディションを受けてみろ」と勧められる。しかし、両親はその歌声を聴くことができない。それ故ポーラの夢を応援することができない。決してポーラを疑っているわけではない。ただ、確認できない自分の娘の才能をどうすれば信じてあげられるだろうか。自分たちで信じてあげれない才能を応援してあげれるだろうか。両親はしっかりと背中を押してあげれないことと今まで自分たちに耳を与えてくれた娘の旅立ちをすんなりと応援することはできなかった。しかし耳の聞こえない彼らにポーラの歌が届く日がやってくる。
この作品を見て自分は映画館で泣いてしまった。自分の才能を信じるべきか家族の幸せを願うべきかというポーラの葛藤と自分が家族の耳であるという現状を全てひとりで抱え苦悩するポーラ。それを別々の形で支える家族とトマソン。彼女のした決断は家族からの旅立ちだった。家族に背を向けたわけではない。自分はこの映画のタイトルを最後のシーンで思い出した。「エール!」それは夢を追う彼女とその旅立ちを受け入れた家族の両方に向けられたものだと感じれたとてもいい映画だった。

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